資 料
国際交流奨学生について*
田中 豊**
* 平成20年7月13日原稿受付
** 法政大学デザイン工学部システムデザイン学科,〒102-8160東京都千代田区富士見2-17-1
21世紀はボーダレスの時代である.ヨーロッパに目を向けると,EU域内での国を超えた人材の交流はますます活発となっている.また米国に目を向けると,工学研究センター(ERC:Engineering Research Center for Compact and Efficient for Fluid Power) 1)を中心とした米国のフルードパワー研究における若手人材の育成は,ますます活発である.
先日,学生と参加したFPNI(Fluid Power Net International)2) 主催のPh-D国際会議(ポーランド・クラクフ,2008年7月3日〜5日)では,開催国ポーランドから17件,米国10件,ドイツ5件,フィンランド3件,フランス2件,イタリア2件,ノルウェー2件,日本2件,オーストリア1件の大学院生の発表講演が行われ,3日間,フルードパワーに関する研究者と若手学生の集中した討議が行われた.この会議の参加者とテーマを見ると,欧州や米国は,フルードパワーの若手人材の育成に,フルードパワー関連企業と協力して,大きな資金を投入し,研究設備基盤とシステム作りを整備していることがわかる.会議の冒頭でも,フルードパワーのイノベーションには,若手研究者の人材育成と交流が重要であることが指摘されていた.
日本フルードパワーシステム学会でも,中国の機械学会に相当する中国機械工程学会流体伝動及控制分会との若手研究者の人材交流3) を進めている.今後も,アジア地域を中心に,優秀な国際派人材の育成を戦略的に進めなければ,次代を担うフルードパワー研究者・技術者の確保は難しくなるだろう.
学会では,こうした国際化がますます進展する現状の中で,国際的センスを有する日本人,また,日本を良く理解する親日のフルードパワー海外研究者をこれまで以上に養成し,日本の研究成果を広く海外へ発信するために,平成19年11月より,広く国内外から奨学生を募集し,奨学金を授与することになった.
応募資格は,海外の大学の修士課程,博士課程に在籍し,フルードパワーを専攻する外国人学生あるいは,日本国籍を有する40歳未満の賛助会員会社社員あるいは正会員である.奨学生の派遣先と派遣期間としては,海外の大学に在籍する外国人学生の場合,国内の大学,高専などのフルードパワー研究機関に半年あるいは1年,日本人の場合,海外の大学,研究所などのフルードパワー研究機関に1ヶ月以上1年未満滞在することが条件である.また,外国人学生の場合,来日後,学会の学生会員となること,日本人の場合,帰国後,学会の春季または秋季講演会で講演すること,両者とも研究成果を日本フルードパワーシステム学会論文集に投稿することを推奨することなども条件となっている.
奨学金の額は,研究期間1ヶ月につき5万円で最高60万円までを支給する.応募者の中から,毎年,2,3名を,学会の表彰委員会で選考して理事会に推薦,理事会は推薦者の中から適任のものを奨学生として決定し,通知する仕組みとなっている.
応募方法は,@履歴書,A研究計画書,B現在の指導教員あるいは所属先からの推薦書,C受入予定機関からの推薦書(指導予定教員からの受入承諾書)D研究期間を明記した書類を,毎年12月末日までに学会に送付することとなっているので,お近くで該当する方々をぜひ,ご推薦いただきたい.また,これらの情報は学会のホームページ4) にも募集案内が掲載されているので,そちらもご参照願いたい.
国際交流は,人と人との,フェース・ツウ・フェースの交わりである.そのためには,日頃からフルードパワーの研究機関や大学,企業が協力し,交流の機会を数多く作る必要がある.3年ごとに開催される学会主催のJFPS国際シンポジウムや,最初にご紹介したFPNI主催のPh-Dシンポジウムなどへの参加と交流は,国際的な人材の育成と交流を加速する一つのよい機会である.今後も学会として,さまざまな機会を捉え,国際交流と次代を担うフルードパワー研究者・技術者の育成を進めていくことになる.関係各方面からご理解とより一層のご支援を賜りたく,この場を借りてお願いする次第である.
1) 田中,米国フルードパワー教育・研究の現状とERCについて,フルードパワー(日本フルードパワー工業会誌),21巻,1号,2007.
2) http://fluid.power.net/
3) http://www.jfps.jp/03-06.html
4) http://www.jfps.jp/topix/topix_0711_01.html
| 田中 豊 君 1985年東京工業大学大学院修士課程修了,その後東工大精密工学研究所助手を経て,1991年法政大学講師,1992年同助教授,2002年同教授,現在,法政大学デザイン工学部システムデザイン学科教授.この間,2000年5月から2001年3月まで米国ユタ大学客員助教授.工学博士(1991年東京工業大学).現在,日本フルードパワーシステム学会の国際交流担当理事 |